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ル・グラン・デバ 〜大討論〜

mikiko6

高校生の息子がなんとなくホクホクして帰って来た。

学校の帰りのロープウェー、向かい側の女子中学生たちが自分の方を見て何やらひそひそ。

髪型を変えてからBTSのジンに似ていると自負する彼。振り向きざまに韓流の指ハートをしたらロープウェーに乗りこんだ彼女たちが一斉に「きゃー!」

車両の窓を通り越しイヤホンをしている耳にもバッチリ届く叫びだったそう。

私から見ればただ単に髪型が似ているだけなのだが、フランスの中学生から見ると「激似 !」なのだろうか。

スウェーデン人と日本人のハーフにも関わらず、彼がヨーロッパ人と思われたことは一度もない。

毎朝1時間、スプレーシューシュー吹いて念入りに行うヘアセット 。

そんな暇があったら課題の哲学書を早く読み終えればいいと思うのだが、こちらの方はクリスマス前からベットの上に放置されていて手付かずである。(写真1)

文学が嫌いだから理系に進んだのに、なぜ哲学が必修なのか。

5ページ読んでその内容がわかるのに3時間も費やしてしまう哲学。

読むだけならいいのだが、問題点を提起して論述するのが非常に手間のかかる作業のようだ。友達のをコピーするとバレてしまう。

この時間で数学のテスト勉強ができたらどれだけはかどることだろう。

哲学で高得点なんてあり得ない、時間の無駄だ(息子談)。

しかし、ここは議論好きな国、フランス。

物事の解決のためには哲学者の十八番、「対話」が必要なのである。

「対話」はフランスにおいて限りなく「討論」に近い。自分の意見は最後までディフェンスを試みなくてはいけない。

しかし息子は相手の主張が「なにかおかしいぞ」と感じても「ま、それも一理あるのかな」と深く追求しない。その夜、やっぱり自分の方があってると思っても後の祭り、丸め込まれた時点で相手が正しいと認めたも同然だ。

国民の不満が噴出した「黄色いベスト運動(12月ブログ参照)」の収束を図るため、マクロン 大統領はこれから2ヶ月間「タブーなしの国民大討論( le grand débat national “sans tabou”) )を開催する。


大討論は1月15日のブールトルードでの地方首長対話集会を皮切りに3月15日まで続く。
マクロン大統領とタブーなしの大討論

マクロン 大統領が全国民に宛てた大討論参加を促す手紙の全文(英語訳)はこちらから。

手紙は発表後、全国民に郵便配達されることになったが、その経費は、締めて10ミリオンユーロ(13億円)とも噂されている。ネットで拡散するだけなら紙代も郵送料もゼロなのに、ご丁寧に国民の各郵便受けに届くようだ。

現状改善のための論議のテーマは4つ。

1) 税金と公共支出 2)行政3)エコロジーへの移行、4)民主主義と移民とライシテ(政教分離)。

大統領の全国討論行脚は2ヶ月続き、3月には一般市民も参加できるようだ。


文殊の知恵がでるのか、暗礁に乗り上げるのか、その成果が待ち遠しい。

リサ

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