top of page
検索

「パレ・イデアル Palais idéal」〜シュヴァルの理想宮〜

mikiko6

皆さんは子供の頃よく石拾いをしましたか。

まだら模様に縞模様、星屑をちりばめた夜空。

おにぎり、ハート、卵型、氷砂糖にマーブルチョコ、カラフルなあられ。

チョークみたいに絵がかけたり、真ん中に丸い穴が空いていたり。

石には不思議がいっぱい詰まっています。

4歳の娘は散歩のたびにポケットに石を詰め込みます。

そこが美しい砂浜であれば微笑ましく見ていられるのですが、犬のウンチが転がっているような歩道(フランスには多い)では「ばっちいからポイしてっ」と、つい叱ってしまいます。

石の数々を家でうっとりと眺め、丸くて飴色のを思わず口に入れようとした彼女の手から、間一髪で石を取り上げました。

15歳の息子の部屋には大切な石コレクションが入っている箱があります。

息子が幼少期から今にかけて道端や川沿いで集めたもので、「牛(白黒模様)」とか「キャラメル」などニックネームが付けられています。

さて、前置きが長くなりましたが、ここからは石の魅力にとりつかれた一人の男性のお話。

リヨンから車で一時間ほどの小さな街「オートリーヴ(Hauterives))で郵便配達の仕事をしている「フェルディナン・シュヴァル」さんは、1879年4月のある日、石につまずいてしまいました。

自分がつまずいた石を見てインスピレーションが走った彼は、次の日同じ場所に戻り、辺りには他にも様々な個性的な石が転がっていることに気づき感銘を受けます。

「そうだ、石を集めて思い描いていた宮殿を造ろう」


仕事の後や休日をフル活用して休むことなく1万日。

9万3千時間をかけ、彼の理想の宮殿「パレ・イデアル」は1912年に完成します。 

43歳で宮殿建設に着手してから33年、彼は76歳になっていました。

その間には、15歳の娘を病で失うという悲しい出来事もありました。

宮殿建築に勤しんでいた彼には旅行する時間など皆無。郵便配達人だったので、ポストカードに描かれている異国の風景などを見て海外にいる気分に浸ったようです。

宮殿の階段のところには「Défence de rien toucher (何も触れないのはダメ)」とシュヴァル自身により刻まれており、私たちは自由に宮殿の中を散策することができます。

見るだけではなく、実際に入っていろんな角度から体感できるこの宮殿、6.5ユーロ(約780円)の入場料を払う価値はあります。

シュヴァルさんが、33年間どこへも行かずたった一人で完成させたこの宮殿は「郵便配達人シュヴァルのパレ・イデアル(理想宮)」と呼ばれ、国内外から毎日多くの人々が訪れています。

リサ 2月26日

閲覧数:2回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page