9月9日に、スウェーデンで総選挙があります。
当日イタリア出張で不在の夫は、一足先に近所の百貨店エンポーリア(Emporia)で投票を済ませるそうです。
この夏が例年になく酷暑だったため、環境への関心も高まっています。
3日ほど前に、子育て休暇を5日間増やすと宣言したのは、スウェーデンで最も古い政党、Socialdemokraterna(S社会民主労働党 )です。
スウェーデンはEUの理念、移動の自由を積極的に認めている国です。そして、難民をできるだけ多く助けようと人道的支援を続けて来ました。
しかし難民飽和状態に陥った現在、移民規制の公約を掲げた党を支持する国民が増えました。すでに移民としてスウェーデンに定住している人たちまでが、これ以上の移民受け入れに反対したりしています。
右派のスウェーデン民主党が飛ぶ鳥を落とす勢いで支持率を上げて来ました。「難民受け入れよりも国内のスウェーデン人へ福祉の充実を」という主張に共感する人が増える一方、党首の「各民族はそれぞれがふさわしい場所にいるべき」といった発言に危機感を抱く人もいます。
先日、夫の友人があるノルウェー人写真家の取材に同行し、スウェーデンの治安悪化地域を巡って来ました。
治安悪化と移民を結びつけるのは短絡的ですが、スウェーデンの移民地区をノルウェーの人々はノーゴーゾーン(No go zone)とよび批判しています。
移民地区では、女性への取材が難しかったそうです。
歩いてきたソマリア人らしき女性にインタビューしようとしたら、すぐに同郷の男性がやってきてブロックされました。女性が一人でいるところに男性インタビュアーが話しかけたのはタブーだったようで、北欧人との感覚の違いをまざまざと感じたそうです。
スウェーデンには多文化共生という意識があり、スウェーデン語が母国語でない子供たちには、彼らの母国語もきちんと学習できるよう配慮されます。その上で、学校は政教分離に則り、スウェーデンの文化や価値を次世代に受け継いでいきます。
学校が移民の社会統合の場として機能しているのは良いのですが、子供だけが社会に適応して、親が取り残されがちです。 大人の幸福度が低いと家庭、ひいては社会のモラルも低下するように思います。
命の危険にさらされ難民になった人々が、やっとの思いでたどり着いた国で暖かく迎えられること、そして受け入れ国の人々とそこに受け入れられた人々が共に良い社会を築いて行けるよう願います。
リサ 2018年8月31日 マルメにて
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