月日の経つのは早いもので、このブログで 「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」を紹介するのも4回目となりました。
欧州放送連合(EBU)による恒例のソングコンテスト、今年の開催地はポルトガルのリスボンです。
5月12日に決勝戦が行われ、イスラエル代表のネッタ・バルジライ(Netta Barzilai) が優勝しました。
ネッタは着物風の衣装にシニョンを結った髪型で、背後には金の招き猫がずらっと並んでいます。
ピカチューという単語が出てきたと思ったら、サビの部分では「I’m not your toy」と連呼しながらチキンダンス。鶏を真似した腕の動きと後ろの招き猫の手が妙にマッチしています。
「Toy」はセクシャルハラスメント告発「#MeToo」運動に触発された女性応援歌だそうです。
ユーロビジョンではその年の優勝国が翌年の開催地となりますので、2019年のコンテスト会場はイスラエルです。
「来年はエルサレムで」と述べたネッタさん。
その一方では、イスラエルを取り巻く中東情勢の緊迫を踏まえ、同国で来年開催されるコンテストのボイコット呼びかけが始まっています。
歌謡コンテストには字幕が出ないので、他国の人にも伝わるよう英語で歌う出場者が増えました。
でも、フランスの歌手はずっとフランス語で歌っています。フランス人にとって歌(ソング)はあくまでもシャンソン。
フランス代表の夫婦デュオ、マダム ムッシュー(Madame Monsieur)の歌う「Mercyメルシー」は13位に終わりました。
黒一色の服に赤いスニーカーとギター。他国の派手な演出に比べると地味すぎたのでしょうか。
歌の題名になった女の子、メルシー(Mercy) は実在します。
彼女の母親は妊娠中にナイジェリアから逃れ、地中海を難民船で渡ります。メルシーは2017年にSOS Mediteranéeの人命救助ボートで生まれました。現在は母娘共にシチリアの難民キャンプで暮らしているそうです。
「ジュ・スイ・ネー・スマタン・ジュ〜マペール・メ〜ルシー」
娘が冒頭部分をよく歌っています。
ユーロビジョン・ソング・コンテストを毎年放映してきた中国。
検閲が問題となり今年の決勝戦は放映されませんでした。
アイルランド代表、ライアンの歌う「Together」は失恋をテーマにしていて、特に同性愛を描いているわけではないのですが、舞台演出が男性カップルのストーリーになっていて、中国の放送局が検閲したようです。
準決勝戦が中国で放映された際この曲が削除されていたため、ユーロビジョンは中国の放送局とのパートナーシップを打ち切りました。
最後に紹介するのは、5位にランキングしたイタリア。
エルマル・メータとファブリツィオ・モーロのデュオが歌ったのは、
「Non Mi Avete Fatto Niente お前達は私に何もしていない(できなかった)」
カイロ、パリ、ロンドン、ニースなど大きなテロ被害にあった都市の名が出てきます。
地球に明るい未来がもたらされますように。
リサ 5月21日 リヨンにて
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