ヨーロッパでは9月に新学年がスタートします。
息子は近所の図書館の新学期ブックラッピング講座に参加し、教科書(貸与)に透明ラッピングをしてきました。
新学期早々、シリアの難民が多数ヨーロッパに押し寄せ、対応が麻痺しているというニュースが新聞の一面を占めました。
移民急増への懸念からか、迅速な対応ができずにいたEU諸国 。
宗教、言語の違う人々が一斉に押しかけてくれば、警戒するのも無理ないのですが、そもそもシリアの騒乱が日々悪化している時点でこの事態は想定できたのではないでしょうか。
シリア難民は命からがら自国を脱出してきており、即時の救済が必要でした。
家族と乗ったゴムボートが沈み、トルコの浜辺にうち上げられた小さな男の子の亡骸。その写真は全世界に衝撃を与えました。そしてやっとEU諸国は難民の受け入れに重い腰をあげました。
ドイツは積極的受け入れを表明しています。
EUの理念に基づけば、EU諸国全てによる難民受け入れが必須です。
ですが、ハンガリーは国境にフェンスをして、難民が入ってこないよう軍まで投入しようとしています。
近隣のアラブ諸国の対応もまちまちで、ヨルダンやレバノンは難民を受け入れているのに対し、サウジアラビアは豊かな国にもかかわらず受けいれ難民数はゼロだと報道されました。
フランスはシリアのISへの空爆で難民問題を解決しようとしているようですが、空爆で解決できるとは到底思えません。
オランド大統領は、2年間で24000人の難民を受け入れると表明しています。
対して、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン氏は、
「政治難民はごく一部に過ぎない。テレビで報道されているシリア難民は圧倒的に男性が多く、やはり彼らは労働目的でやってきているとしか思えない。私たち国民戦線は難民を受け入れない」と発言。
2週間ほど前の世論調査では、2017年の大統領選で現オランド大統領は落選し、反EUと厳しい移民政策を掲げる国民戦線のマリーヌ・ルペン氏が選ばれるだろうという予想でした。実際にこの政党が政権を握ることはないとは思いますが、フランスの世論は移民受け入れに寛容ではなくなってきています。
夫の出身地スウェーデンのマルメ郊外には移民住宅街があり、治安問題が多発しています。
夫は「移民をある特定の地域にだけ住まわせるからこうなるのだ、移民街という発想がいけない。もとからいるスウェーデン人と混在して住んでいればこんなことにはならないよ。」と言います。
大学生の長女はマルメで比較的移民の多い住宅街に住んでいます。
一度訪ねましたが、アパート内は広くて素敵ですけれど一歩外に出ると閑散としており、ちょっと不良っぽい若者がうろうろしています。
階段のところでその怖そうな若者が娘の乗ったベビーカーを運ぶのを手伝ってくれ、「実は良い青年だったのね。怖がって悪かったわ」と思いました。若者がぶらぶらしているのは、仕事がないからでしょう。
マルメで移民出身の有名人といえば、皆サッカー選手のズラタン・イブラヒモビッチの名前をあげるのではないでしょうか。彼は移民2世で、自伝「俺はズラタン」に、マルメ移民街での生い立ちを回想しています。彼はスウェーデン生まれですが、自らがスウェーデン人であると感じたことはほとんどなかったようです。
リサ 9月12日 リヨンにて
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